SNS企業アカウント 真偽を見極めるチェックポイント
SNSで企業の公式アカウントを見分ける重要性
SNSは、企業が最新情報の発信や顧客とのコミュニケーションを行う上で欠かせないツールとなっています。魅力的なキャンペーン情報や便利なサービスのお知らせなど、私たちは日々、様々な企業の公式アカウントから発信される情報に触れています。
しかし、SNS上には、企業名やロゴを不正に使用し、公式アカウントそっくりになりすます「偽アカウント」が存在します。これらの偽アカウントは、個人情報の詐取、不正サイトへの誘導、金銭要求など、様々な悪質な活動を行う可能性があります。特に、多くの人が参加するキャンペーン期間中などに急増する傾向があります。
偽アカウントから発信される情報を信じてしまったり、不用意にやり取りをしてしまったりすると、予期せぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。そのため、SNSで企業のアカウントをフォローしたり、そこから発信される情報を参考にしたりする際には、そのアカウントが本当に企業の公式アカウントであるか、慎重に見極めることが非常に重要です。
ここでは、SNS上の企業アカウントの真偽を見分けるための具体的なチェックポイントをいくつかご紹介します。
偽アカウントが使う主な手口
偽アカウントは、公式アカウントに似せるために様々な工夫を凝らしています。その手口を知っておくことは、見極める上で役立ちます。
- アカウント名の酷似: 公式アカウントとほとんど同じアカウント名を使用しますが、一部だけ文字が異なっていたり(例: 大文字のIと小文字のl、数字の0とアルファベットのO)、余分な記号や数字が追加されていたりします。
- プロフィール情報のコピー: 公式アカウントのプロフィール画像、カバー画像、自己紹介文などをそのままコピーして使用します。
- 過去の投稿の転載: 公式アカウントの過去の投稿をそのまま転載し、あたかも継続的に活動しているかのように見せかけます。
- 誘導型DMの送信: フォローやキャンペーン応募などを行ったユーザーに対し、「当選しました」といった偽の通知をDMで送りつけ、個人情報入力サイトやフィッシングサイトへ誘導します。
- フォロー・フォロワー数の操作: ツールなどを使って不自然にフォロワー数を増やしている場合があります。
これらの手口を知った上で、以下でご紹介するチェックポイントを確認してみましょう。
公式アカウントを見極めるためのチェックポイント
SNS上の企業アカウントの真偽を確認する際には、複数の視点から総合的に判断することが大切です。
1. 公式マーク(認証バッジ)の有無と注意点
多くのSNSプラットフォームでは、著名な企業や人物に対して公式であることを示す「認証バッジ」(例: Xの青いチェックマーク、Instagramの青いチェックマーク)を提供しています。このバッジがあるアカウントは、プラットフォームによって公式性が確認されている可能性が高いと言えます。
しかし、認証バッジがあるからといって100%安全と断定はできません。認証基準はプラットフォームによって異なり、有料で取得できる場合もあります。また、認証バッジそのものを画像としてプロフィール画像に貼り付けている偽アカウントも存在します。認証バッジが表示される場所(アカウント名の横など、定められた場所)を正しく確認することが重要です。そして、認証バッジだけで判断せず、他のチェックポイントも併せて確認してください。
2. アカウント名とIDの微細な違いを確認する
偽アカウントは、公式アカウントのユーザー名(ID)や表示名を微妙に変えていることが多いです。例えば、本来は「@official_〇〇」であるべきところが、「@official-〇〇」や「@officiai_〇〇」('l'が'i'になっている)、「@official__〇〇」(アンダーバーが一つ多い)など、ぱっと見では気づきにくい違いがあります。
アカウント名やIDを注意深く一文字ずつ確認し、公式サイトや他の信頼できる情報源で確認できる正確なアカウント名・IDと一致しているかを確認してください。
3. フォロー数とフォロワー数のバランスを見る
公式アカウントの場合、ある程度の期間運用されていれば、フォロワー数がフォロー数を大きく上回っていることが一般的です(企業の性質や運用方針にもよりますが)。一方、作られたばかりの偽アカウントやツールを使っているアカウントは、フォロワー数が極端に少ない、あるいは逆に不自然に多いにもかかわらず、フォローしている数も非常に多い、といった不均衡が見られることがあります。ただし、フォロワー数だけで判断せず、あくまで一つの参考情報としてください。
4. 過去の投稿内容・頻度・トーンを確認する
公式アカウントは、企業の正式な広報活動として、一定の頻度で、企業全体のトーンやポリシーに沿った内容の投稿を行っています。アカウントの過去の投稿をさかのぼって確認し、投稿頻度が極端に少ない、特定の期間に集中している、企業の公式発表とは異なる個人的なトーンや怪しい内容が多いといった場合は、偽アカウントである可能性を疑いましょう。また、キャンペーンの告知だけを繰り返し行っているようなアカウントも注意が必要です。
5. プロフィールに記載されたリンク先を確認する
多くの企業の公式アカウントは、プロフィール欄に自社の公式サイトへのリンクを掲載しています。そのリンクが企業の正式なドメイン(例: example.co.jp)のURLになっているかを確認してください。短縮URLが使われている場合は、安易にクリックせず、信頼できるツールなどでリンク先を確認するか、直接企業の公式サイトにアクセスしてSNSアカウント情報を確認する方が安全です。偽アカウントは、フィッシングサイトやマルウェア感染のリスクがあるサイトへのリンクを貼っていることがあります。
6. 他の公式情報源との突合
最も確実な方法の一つは、企業の公式サイトを確認することです。企業の公式サイトには、公式なSNSアカウントへのリンクが掲載されているのが一般的です。公式サイトに記載されているアカウント名やIDと、あなたがSNS上で見つけたアカウントの情報が完全に一致するかを確認してください。また、企業の問い合わせ窓口や広報発表などで、公式アカウントに関する情報が提供されている場合もあります。
7. キャンペーン応募条件やDMの内容を注意深く確認する
偽アカウントは、当選通知と称してDMを送り、個人情報(住所、電話番号、クレジットカード情報など)を詳細に入力させようとすることがあります。企業の公式キャンペーンで、当選通知をDMで行うことはありますが、そこでクレジットカード番号や銀行口座番号といった機密性の高い情報を要求することは極めて稀です。また、怪しい外部サイトへのURLをクリックさせようとするDMにも警戒が必要です。企業のキャンペーンの正式な応募条件は、通常、公式サイトや公式アカウントの正式な告知投稿に明記されています。
万が一、偽アカウントに関わってしまったら
もし偽アカウントをフォローしてしまったり、DMでやり取りしてしまったりしたことに気づいたら、以下の対応を検討してください。
- フォローを解除し、ブロックする: その後の接触を断つために、アカウントのフォローを解除し、ブロック機能を活用してください。
- 報告機能を利用する: 各SNSプラットフォームには、偽アカウントやスパムアカウントを報告する機能があります。プラットフォーム側に報告することで、そのアカウントが停止される可能性があります。
- 個人情報の入力や金銭の支払いをしていないか確認する: もし個人情報(特に住所、電話番号、生年月日、金融情報など)を入力してしまったり、金銭を支払ってしまったりした場合は、速やかにクレジットカード会社に連絡する、警察のサイバー犯罪相談窓口に相談するなどの対応を検討してください。
- パスワードの変更: 同じパスワードを使い回している場合は、念のため関連サービスのパスワードを変更することも検討しましょう。
まとめ
SNS上の企業アカウントが本物か偽物かを見分けるためには、公式マークの有無だけでなく、アカウント名やID、投稿内容、リンク先、他の公式情報源との一致など、複数のチェックポイントを総合的に確認することが重要です。
安易に情報を信用せず、少しでも不審な点があれば立ち止まり、ご紹介したチェックポイントを確認する冷静な姿勢を持つことが、ネット上の情報を賢く利用するための第一歩となります。企業の公式な情報やキャンペーンに参加したいときは、必ず企業の公式サイトで正確な情報を確認することを習慣づけましょう。