SNSで拡散されるデマ・誤情報 見極め方
はじめに
日々の情報収集において、SNSは欠かせないツールとなっています。X(旧Twitter)でリアルタイムな情報を得たり、InstagramやTikTokでトレンドを追ったり、YouTubeで解説動画を視聴したりと、多くの情報に手軽にアクセスできる利便性があります。しかし、その手軽さゆえに、誤った情報や意図的なデマも瞬く間に拡散されてしまうリスクも存在します。
特に、災害や事件などの緊急時、あるいは健康やお金といった関心の高い分野では、情報の真偽を見極めることが非常に重要になります。不確かな情報を信じて行動してしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれたり、間違った判断をしてしまったりする可能性も否定できません。
本記事では、SNSで目にすることの多いデマや誤情報を見抜くために、具体的な見極め方やチェックポイントをご紹介いたします。インターネット上の情報を賢く利用し、不確かな情報に惑わされないための知識を身につけましょう。
SNSのデマ・誤情報が生まれる背景
なぜSNSではデマや誤情報が拡散しやすいのでしょうか。その背景にはいくつかの要因があります。
まず、情報の速報性です。SNSは投稿からすぐに多くの人に見てもらえる可能性があるため、確認が不十分なまま情報が発信されやすい傾向があります。また、匿名での投稿が可能なプラットフォームでは、無責任な情報発信が行われやすいという側面もあります。
次に、情報の伝播方法です。SNSでは共感や驚きといった感情が情報の拡散を後押ししやすい構造になっています。「これは大変だ」「許せない」といった感情を刺激する情報は、「いいね」やリポスト(リツイート)によって瞬く間に広がり、その過程で情報の正確性が二の次にされてしまうことがあります。
さらに、アルゴリズムの影響も無視できません。SNSのアルゴリズムは、ユーザーの関心を引きそうな情報や、多くの人が反応している情報を優先的に表示する傾向があります。結果として、センセーショナルな内容を含むデマや誤情報が、正しい情報よりも目につきやすくなってしまうこともあります。
SNSで拡散される情報を見極めるためのチェックポイント
では、具体的にどのような点に注意すれば、SNSで流れてくる情報の真偽を見極めることができるのでしょうか。いくつかのチェックポイントをご紹介します。
1. 情報源を確認する
最も基本的ながら重要なステップです。
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誰が発信している情報か?
- 公的機関(警察、自治体、省庁など)の公式アカウントからの情報でしょうか。これらの機関からの情報は信頼性が高いと言えます。
- 大手メディア(新聞社、通信社、テレビ局など)の公式アカウントでしょうか。これらの情報も通常は信頼できますが、速報段階の情報には注意が必要な場合もあります。
- 専門家や著名人のアカウントでしょうか。その分野の専門家であれば信頼性は高まりますが、個人の意見や推測である可能性もあります。
- 全く知らない個人アカウントでしょうか。情報源が不明確な場合は、特に慎重な判断が必要です。
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そのアカウントは本当に公式アカウントか?
- アカウント名だけでなく、プロフィール情報、過去の投稿内容、フォロワー数などを確認し、公式アカウントになりすましていないか疑ってみることも必要です。認証マーク(青いチェックマークなど)が付いているかも一つの目安になります。
2. 他の情報源とクロスチェックする
一つの情報源だけを鵜呑みにせず、複数の信頼できる情報源で同じ情報が報じられているか確認しましょう。
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他の大手メディアや公的機関は同じ情報を伝えているか?
- 信頼できる複数のニュースサイトやテレビ局が同じ事実を報じている場合、その情報の信頼性は高まります。
- 公的機関が注意喚起や公式発表を行っているか確認します。例えば、災害情報であれば気象庁や自治体の情報、健康情報であれば厚生労働省や専門機関の情報などを参照します。
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情報の裏付けとなる根拠は示されているか?
- 「〜によると」「〇〇の調査では」といった形で、情報の出典が明確に示されているか確認します。出典が示されていない、あるいは曖昧な情報は信頼性が低い可能性があります。
3. 情報の公開日時を確認する
古い情報が、あたかも最新の情報であるかのように再拡散されるケースがよくあります。
- いつ投稿された情報か?
- 特に緊急時や速報性が求められる情報の場合、投稿日時が非常に重要になります。
- 過去の災害や事件に関する情報が、現在の出来事として誤って拡散されていないか確認します。
4. 感情に訴えかける表現や極端な主張に注意する
デマや誤情報は、人々の不安や怒り、同情といった感情を煽るような言葉遣いを多用する傾向があります。
- 「絶対に〇〇」「全てが△△だ」「信じられない真実」といった断定的な表現や煽り文句が使われていないか?
- 客観的な情報伝達は、感情的な表現を控えることが多いです。過度に感情を刺激するような表現が使われている場合、冷静に情報の真偽を疑ってみる必要があります。
- 特定の個人や団体を極端に非難したり、異常なほど楽観的な主張をしたりする情報も慎重に判断しましょう。
5. 添付されている画像や動画を確認する
SNSでは、画像や動画がセットで投稿されることが多いですが、これらが加工や合成されたものである可能性、あるいは全く別の状況で撮影されたものである可能性も考慮する必要があります。
- 画像検索や動画検索で元の情報を探してみる
- Google画像検索や、動画のサムネイルを使った検索などで、その画像や動画がいつ、どこで公開されたものか、どのような文脈で使用されていたものか調べてみましょう。
- 「この画像は過去の〜のものです」といった情報が見つかる場合があります。
6. 発信者の意図を考える
その情報がなぜ発信されているのか、発信者の目的を考えてみることも有効です。
- 広告や宣伝目的ではないか?
- 商品の購入やサービスの利用を促すための、根拠のない、あるいは誇大な情報かもしれません。(これは既存記事のテーマと少し関連しますが、デマや誤情報としての側面も考慮します。)
- 特定の意見や思想に誘導しようとしていないか?
- 愉快犯や注目を集めたいだけではないか?
冷静に、発信者の立場や目的を推測することで、情報のバイアスや信頼性を判断する手がかりになります。
もし不確かな情報を見かけたら
もしあなたがSNSで不確かな情報、あるいは明らかなデマと思われる情報を見かけた場合、以下の行動を検討しましょう。
- 安易に「いいね」やリポストをしない
- 不確かな情報を拡散する手助けをしてしまうことになります。
- 投稿者やプラットフォームに報告する
- 多くのSNSプラットフォームには、不適切な情報や誤情報を報告する機能があります。
- 信頼できる友人や家族に相談する
- 一人で判断が難しい場合は、他の人に意見を求めてみるのも良いでしょう。
- 自ら正確な情報を探して共有する
- もし正確な情報を見つけたら、それを共有することで、デマの拡散を防ぐ手助けができます。ただし、共有する情報の信頼性はしっかりと確認してください。
まとめ
SNSは便利な情報ツールですが、デマや誤情報が拡散しやすい側面も持っています。目に留まった情報が、誰から、いつ、どのような意図で発信されたものなのか、そして他の信頼できる情報源は同じことを伝えているのか、といった点を冷静にチェックすることが、情報の真偽を見極める上で非常に重要です。
特に、感情を強く揺さぶられるような情報や、あまりにも都合の良い、あるいは悪い話には注意が必要です。情報を鵜呑みにせず、批判的な視点を持つ習慣を身につけることで、インターネット上の情報を賢く活用し、デマや誤情報に惑わされずに、より安全で有益なインターネットライフを送ることができるでしょう。
情報の海の中で溺れないために、一つ一つの情報に「本当に?」と問いかける意識を持つことから始めてみてください。