SNSのステルスマーケティング 見極めポイント
ステルスマーケティングとは何か? SNSでなぜ注意が必要なのか
インターネットやSNSを利用していると、友人からの口コミや、好きなインフルエンサーのおすすめ投稿など、様々な情報に触れる機会が多くあります。これらの情報は時に私たちの商品購入やサービス利用の判断に大きな影響を与えます。
しかし、中には「広告であること」を隠して、あたかも個人的な感想や公平な評価であるかのように見せかける投稿が存在します。これが「ステルスマーケティング」、略して「ステマ」と呼ばれるものです。
ステマは、消費者が広告であることを知らずに情報を信頼してしまうため、公平な判断を妨げ、誤解や不利益をもたらす可能性があります。特にSNSでは、個人的な投稿と広告の境界線が曖昧になりやすく、見抜くのが難しいケースが増えています。
デジタル情報サバイバルでは、あなたがインターネット上の情報を賢く判断できるよう、このステルスマーケティングを見極めるための具体的なポイントをお伝えします。
ステルスマーケティングが疑われる投稿の兆候
ステマを見抜くためには、いくつかの「怪しいサイン」を知っておくことが役立ちます。すべての投稿がステマであるわけではありませんが、以下のような兆候が見られた場合は、一度立ち止まって情報の真偽を冷静に判断することが大切です。
- 過剰に良い点だけを強調している: 商品やサービスにデメリットが一切ないかのように、一方的に褒めちぎっている投稿には注意が必要です。どんなものにも多かれ少なかれ欠点はあるものです。
- 特定の商品の話題が急に増えた: 通常は様々な内容を投稿している人が、特定の期間だけ集中的にある商品やサービスについて語り始めた場合、何らかの意図がある可能性が考えられます。
- 不自然に具体的な専門用語や商品名が多い: 個人の感想としては使わないような、メーカー側が発表しているかのような専門用語や、必要以上に正式名称を繰り返している場合も注意が必要です。
- 購入場所や特定のキャンペーン情報などを強く勧める: 単なるおすすめに加えて、「ここで買うのがお得」「〇月〇日までのキャンペーン」といった具体的な購入行動を強く促す内容は、広告的な要素を含んでいる可能性が高いです。
- 使用している状況の写真や動画がプロ並みに綺麗すぎる: 個人の日常的な投稿としては考えにくいほど、商品が美しく映されていたり、完璧なシチュエーションで撮影されていたりする場合、タイアップなどの広告案件である可能性が疑われます。
- コメント欄への反応が限定的、あるいは不自然: 疑問や批判的なコメントには一切反応せず、肯定的なコメントにだけ丁寧に返信している、あるいはコメント自体を受け付けていない場合も、広告であることを隠したい意図があるのかもしれません。
ステルスマーケティングを見極める具体的なチェックポイント
上記のような兆候を踏まえ、怪しいと感じた投稿があった際に実践できる具体的なチェックポイントを以下に示します。
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情報発信者の過去の投稿を確認する:
- 普段からその分野について情報発信している人か?
- 過去に同様の商品やサービスについて触れていたか?
- 特定の企業やブランドに関連する投稿が多いか?
- 急に特定のジャンルや商品に偏った投稿が増えていないか? これらの点を確認することで、その投稿が普段からの関心に基づくものか、あるいは一時的な依頼によるものかを見分けるヒントが得られます。
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投稿内に広告表示がないか探す:
- 最近は、広告であることを明記する動きが広まっています。投稿文の最初や最後に「#PR」「#プロモーション」「#広告」「#タイアップ」といったハッシュタグが付いているか確認しましょう。
- SNSプラットフォームによっては、投稿設定で「提携投稿タグ」などを付ける機能があります。投稿上部に小さく「〇〇(企業名)との提携コンテンツ」のように表示されていないかも注意深く見てみましょう。
- ただし、悪質なステマはこれらの表示を意図的に隠したり、非常に分かりにくい形で記載したりすることがあります。表示がないからといって即座にステマではないと判断するのは危険です。
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複数の情報源で同じ商品やサービスについて調べる:
- 怪しいと感じた投稿で紹介されていた商品名をインターネット検索や他のSNS、レビューサイトなどで調べてみましょう。
- 公式サイトの情報だけでなく、中立的な立場の比較サイト、複数の個人の口コミ(肯定的なものだけでなく否定的なものも)、信頼できるメディアのレビューなどを参照します。
- 特定の投稿だけが極端に評価が高い、他の情報源では触れられていない不都合な情報がある、といった場合は、その投稿の信頼性を疑うべきです。
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情報の「裏側」を想像してみる:
- 「なぜこの人はこの商品をこんなに推しているのだろう?」
- 「この投稿から、投稿者に何かメリットはあるのだろうか?」
- 企業からの依頼を受けている可能性、商品提供を受けている可能性、アフィリエイトなどの成果報酬を得ている可能性など、様々な可能性を頭の片隅に置いて投稿を読んでみましょう。
疑わしい情報にどう向き合うか
もし、ある投稿がステルスマーケティングである可能性が高いと感じた場合、最も大切なのはその情報を鵜呑みにしないことです。
- すぐに購入や契約をしない: 焦って行動せず、一度冷静になって、自分で十分な情報収集を行いましょう。
- その情報だけで判断しない: 特定の投稿で得た情報だけでなく、複数の信頼できる情報源からの情報と照らし合わせて判断する習慣をつけましょう。
- 「個人の感想です」も鵜呑みにしない: 「これはあくまで個人の感想です」といった断り書きがあったとしても、それが広告でない保証はありません。
ステルスマーケティングは巧妙化しており、見抜くことは容易ではありません。しかし、今回ご紹介したようなチェックポイントを意識し、常に「この情報は本当に信頼できるのか?」という視点を持つことが、ネットの情報を賢く活用するための第一歩となります。
SNSは便利な情報源ですが、その裏には様々な意図が存在する可能性があることを理解し、自ら情報を選び取る力を養っていくことが、デジタル時代を生き抜く上で非常に重要です。